パチンコ屋というのは実に騒がしく美しい…
ジャラジャラと玉の流れる音、爆音の演出、台もピカピカ光るし、ネオンだってド派手だ。
それがひとたび閉店してしまえば、シーンと静まり返り、ネオンは消え、はたから見ると暗闇と同化してしまう…
しかし…
1歩2歩と近づいて、その中を覗いてみると…
そこには宝石箱のような美しさがありました…
おもしれーもん
あれはまだ初代ニューパルサーがデビューして間もない頃の話…
その日も夜遅くまで羽根物を打っていると、いつも遊んでいるハルキがやってきて俺にこういった。
ハル「終わったら遊びにいこうぜ、おもしれーもん見せてやるよ」
俺「はぁ?なんだよそれ?」
ハル「まあいいから終わったら来いよ」
ハルキはろくなヤツじゃない。
たばこ、酒、パチンコ、麻雀、レースなどの悪い遊びは大体こいつが俺に教えてきた。
そしてそのほとんどにまんまとハマってしまっている…まぁレースはほとんどやらなかったけど。
羽根物を打ちながらも少し気になっていた…
(なんだよ、【おもしれーもん】って、まったく…あいつのいう事は…
ホントにおもしれーからな…)
閉店後…
いつも集合するヒロサトの家に行くと、すでにハルキとタツノも集まっていた。
俺「どこいくん?」俺が尋ねると
ハル「まぁまだ早いから待ってろよ、飯でも食おうぜ」
カップ麺をすすりながらもどこにいくのか気になって仕方ない俺は今度はタツノに聞いてみた。
俺「どこいくん?」
するとタツノがニヤニヤしながら語り始めた…
だいたいこの手の怪しい話を仕入れてくるのはタツノと相場が決まっている…
(やっぱりこいつか…)
そう思いながら話に耳を傾けた。
ちなみに全く関係のない話だが、タツノはナニが超デカい。
タツ「いやね…この前先輩に教えてもらったんだけど、モーニングがあるじゃない…」
俺「あぁ…パチスロのね…」
ポイント
モーニングに関してはこちらをご覧ください↓
タツ「それの入る場所がわかるのよ」
俺「えぇ⁉わかるって…なに?どゆこと?」
タツ「夜中にね、店の中を覗いたら見えるんだよ。」
俺「えぇ⁉見えないでしょ?ブラインド降りてんじゃん」
タツ「それが…天井の隙間から見えるんだよ」
なんでもタツノが言うには、天井の鏡に反射してみえるらしい。
しかし半信半疑…ホントにそんなうまい話があるのか?
(いまいちピンと来ないな…まぁ実際に行ってみればわかるか…)
そう思い、夜の街をドライブしながら深夜になるのを待っていた。
宝石箱
(それにしても眠い…)
普段いい子ちゃんだから12時を過ぎると眠くなる…
おまけに今日は遅くまでパチンコをやってた事もあり、いつの間にか眠ってしまっていた。
ハル「おい!起きろ」
ハルキが小声で起こしてきた。
ユサユサ…
俺「ん?」
ハル「行くぞ」
俺「あぁ…」
時刻は夜中の1時を過ぎている…
あいつらはすでにパチンコ屋のガラスの近くにいた…
半分寝ぼけたまま車の外に降りると…
外の空気はとても冷たく、一気に目が覚める。
あいつらに続いてパチンコ屋のガラスに忍び足で近づいていく…
こんな時間にパチンコ屋に来た事なんかないからなんだかとってもワクワクする…
それになにかすごく悪い事をしているようなドキドキ感…
ハル「ホラ、上見てみろよ」
ハルキが小声で話しかけてきた。
見上げると天井の一部がピカピカ光っている。
真っ暗闇に、赤、黄色、緑と光るその景色は…まるでクリスマスツリーのイルミネーションの様に奇麗だった…
よく見るとスロット台が天井の鏡に反射して映っている…
しかも2台だけ…
俺「どういうこと?」
タツ「あれは機械でモーニングを仕込んでるんだよ」
俺「へー」
参考
モーニングの仕込み方は、店員が手回しでボーナス成立まで回す事もあったようですが、ほとんどの店では【打ち込み機】と言われる、自動でボーナス成立まで回してくれる機械を使っているようでした。
しかし暗くて見にくい…
光っている台はハッキリと見えるがそれ以外の台が暗くてよく見えないので何台目が光っているのかわからない。
俺「何台目?」
ハル「1、2、3、4台目か?」
タツ「いや手前に1台隠れてるから5台目だ」
俺「へー、あっ…ホントだ」
こうしてモーニングをのぞき見るという意外な攻略法を手に入れる事となった。
しかしこの店には先輩もいるし、教えてもらった手前、堂々とのぞき見たモーニングを打てる機会は少なかった…
危険なのぞき見
そんなある日…
またハルキとタツノがモーニングを見に行くというので一緒について行く事になった。
なぜかハルキはタツノと一緒になると、俺にタツノのナニがいかに凄いかを熱弁してくる…
(コイツら出来てんのかよ…)
店には着いたもののいつもの様に眠かったので車で待っていると…
ハルキとタツノが血相を変えて戻ってきた。
タツ「ヤバイ、ヤバイ、店員が金属バット持って追いかけてきた」
そう言ってタツノは急いで車を発進させる。
俺「えっ?」
ビックリして振り返るが何も見えない、
俺「ホントに?」
タツ「いや、よくわからんけどなんか持ってた」
(ヤバかった…)
捕まれば確実にボコボコにされていたかと思うと恐ろしい…
それ以来その店にのぞきに行く時は、運転手を待機させ、逃げる準備万端で臨んでいた。
その後、新たに覗ける店を見つけ、それをきっかけに親孝行することになるのだが…
その話はまた今度…
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